13TICAD.banner3.3.jpg

       6/1(土)シンポ&デモ!「誰のためのTICAD(アフリカ開発会議)か?
         -グローバリゼーションのなかで搾取と排除に抵抗するアフリカとアジアの人々-」
           http://ticakov.hatenablog.com/entry/2013/05/10/183546

           ゲスト  チャイナ・ングバネさん (南アフリカ共和国:クワズールー・ナタール大学市民社会センター)

           シンポジスト 稲葉奈々子さん( NO-VOX 「持たざる者」の国際連帯行動 )
                    近藤昇さん( 寿日雇労働者組合 )
                    小倉利丸さん( 横浜でTICADを考える会 )
                 
           シンポジウム宣言:http://ticakov.hatenablog.com/entry/2013/06/06/231359

「ソマリア:海賊か自衛か?」小倉利丸

小倉利丸さん(横浜でTICADを考える会)が、「ソマリア:海賊か自衛か?」というタイトルでご自身のブログで述べられています。
ご了承いただいたので転載します。


no more capitalism - ソマリア:海賊か自衛か?

日本政府主催のアフリカ開発会議(第五回)が6月1日から横浜で開催される。すでにこの会議に先立って日本政府主催の閣僚級会合などが数多く開催されてきた。

アフリカはグローバル化のなかで、新たな「ビジネスチャンス」とみなされて、その資源争奪や「開発」をめぐる先進国、新興国入り乱れての「争奪戦」が繰り広げられている。貧困と紛争がそこで暮す人々の最低限の生存の保障すら危機に追いやっているという現状が、500年に及ぶアフリカに対する植民地主義の歴史を無視して理解すべきでないことは言うまでもないことだ。同時に、先進国は、アフリカの脆弱な統治機構を巧みに利用しながら、こうした現状を自国の経済的な権益(国益)を損なう状態であるとみなして、軍事的あるいはこれに準ずるような力を発揮できるような環境を構築しようともしてきた。

日本も例外ではない。日本の自衛隊がもつ海外の基地のひとつはアフリカのジプチにあり、ジプチにおける自衛隊の行動は、日米地位協定で米軍が得ている特権以上の治外法権を獲得している。このジプチに隣接するソマリアは、日本でもよく知られている「海賊」が出没するといわれる地域である。2011年3月に商船三井のタンカーを襲撃したとされるソマリアの「海賊」は、海賊対処法違反で、今年になって判決が下り、事件当事未成年だった少年に対しても懲役11年、懲役5ー9年の不定期刑、成人の男性に10年という重刑の判決が出されている。ソマリ語しか話せない被告たちの日本での裁判は通訳の問題も含めて公正といえるものからは程遠いものであったのではないか。陪審員たちは、「貧困など地域の事情を「海賊を軽く処罰する理由にはならない」とする結論を導き出した」(サンケイ: http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/130202/trl13020200500000-n1.htm )とも報じられている。しかし、はたして陪審員たちは、この貧困の原因に日本も少なからぬ責任がありうるということにまで理解をもっただろうか?このソマリアの「海賊」たちは、今後10年に及ぶ日本での服役となるが、文化も言葉も違う国での服役が、その量刑の不当さとともに、彼らの人権に対する深刻な侵害となることは間違いないと思われるが、日本国内での支援体制はあるのだろうか。

TICADを控えて日本政府はソマリアの「海賊」対策の強化のためにジプチを拠点として海上保安組織の育成強化を打ち出した。(日経: http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS2602A_U3A500C1MM8000/ )これは国益擁護のための対応であり、「海賊」を生みだした国際的なアフリカ支配を強化するものであっても、これを反省するものではないだろう。

以下に訳出(抄訳)したのは、アフリカのネットニュース専門サイト、Pambazukaに2010年3月に掲載されたソマリアの海賊をめぐる分析レポートである。このレポートでは、ソマリア海域最大の海賊は、ソマリアが国家としての海域警備の力を喪失していることをいいことに、先進国の水産資本による違法な乱獲が横行し、地元の漁民が対抗手段として「海賊」となっているのであって、先進国の水産資本の横暴を野放しにする不公正を厳しく批判している。しかも、問題はこうした乱獲だけではなく、ソマリ沖への有害物質の不法投棄の問題も深刻になっている。

TICADへの市民からの対抗アクションがある。横浜でTICADを考える会のウエッブを是非ごらんください。
http://ticakov.hatenablog.com/

ソマリア:海賊か自衛か?
アンドリュー・ムワングーロ
2010-05-20号482
http://pambazuka.org/en/category/features/64575

●リード
インド洋とアデン湾でのソマリアの海賊による商船のハイジャックは国連決議やマスコミ報道で広く非難されているが、外国船によるソマリア海域での報道されていない違法な規制の網をかいくぐった漁業や、核と有毒廃棄物の投棄地域は無視されつづけている。アンドリュー・ムワングーロはこの地域の海賊の起源と規模について概観する。

●はじめに
1991年以来、壊滅的なソマリア内戦は、ソマリアの海洋・漁業部門を突然崩壊させ、ソマリアの漁業を閉鎖に追い込んだ。ソマリア国有の漁船が拿捕され返却されていない。少なくとも20万人が仕事を失い、ソマリアの漁村は、いまだに復興するために悪戦苦闘している。

しかし、外国船による違法操業と、先進国のより深刻な核と有毒廃棄物の不法投棄によって、内戦依頼、並ぶものがない環境、社会経済や生態系の脅威が生じている。

何千マイルもはなれた港から遠洋漁業や遠洋航海用に設計された非常に洗練された工場機能を装備した漁船は、かれら自身は法的な保護の下に置かれて、乱獲をほしいままにしつつ何らの保護もなされていないソマリア海域に侵入している。

彼らは高価なマグロを追い、サバ、メカジキ、ハタ、エンペラー、スナッパー、サメ、そしてその他のインド洋やアデン湾の貴重魚種を追う。大手を振って彼らは、この世界で最も裕福なのテーブルのためにロックロブスターやエビを、極東の気の狂った味覚のために、イルカ、ウミガメやナマコを収奪し、絶滅間近なジュゴンを減らしてきた。

彼らがやっていることは、生態系の限界を知りながら短期的な利益を目指している。だからソマリアは政治的にも資源的にも排除を経験しているということだ。内戦とあからさまな戦争とともに、大規模な外国漁船の違法で犯罪的な密猟は、ここ19年間、ソマリア海洋資源の理不尽な破壊をもたらしてきただけでなく、環境的にも経済的にも、安全保障にとっても、最も有害な要因の一つとなっている。

国連決議は公正とはいえず、巨大権力の命令やニュース報道は、インド洋とアデン湾でソマリアの海賊による商船のハイジャックを非難し続けているが、(外国による)海賊的な漁業は、無視しつづけてきた。なぜ国連決議、NATOの命令とEUは、ソマリ海域でのIUU(訳注:llegal,Unreported and Unregulated;無許可操業、もしくは許可の条件(水域、魚種、漁期)に反しての操業。禁漁期及び禁漁区での操業。禁止漁具を使用しての操業、水産庁、http://www.jfa.maff.go.jp/j/enyou/import/iuu.html)侵害からソマリアの海洋資源を保護することをせずに、頑強にソマリア海の侵略を宣言するのだろうか?

両方の海賊(ソマリの海賊と外国漁船の密猟)の脅威にバランスのとれた、公正な対応をしようとするのであれば、彼らの非難は正当化さるかもしれない。しかし、欧州連合(EU)、ロシア、日本、インド、エジプト、イエメンなどが海賊対策キャンペーンでは、かれらの商船の安全性だけに注力し、彼ら自身の違法操業を守ろうとしているのである。

このとんでもない漁業における海賊行為は無視され、違法な外国の海洋密猟者は、かれらの略奪行為を継続するように促され、現在の決議、命令及び法令、布告のいずれも、いまだに衰えるところのないあからさまなIUU漁業に言及していない。

●IUUの脅威や魚ロンダリング行為

IUU漁業(違法、無報告及び無規制漁業)は深刻な地球規模の問題であり、それは国境や主権を尊重せず、海洋資源、海洋生物や生息地に持続不可能な圧力をかけるだけでなく、労働基準を侵害し、市場を歪めてきた。

ECOTERRAインターナショナルで働いているソマリアの専門家、モハメッド・ワルド氏によれば、IUU漁業は、幼魚の漁業制限を含む海洋環境保護の規則を侮り、広範囲の海洋生態系に弊害をもたらしている。また、海洋保護には、産卵場を漁場としないように閉鎖し、非対象種の混獲を最小限に抑えるような漁獲装置の変更も含まれる。こうした過失は、彼によれば、いくつかの方法でこの国に影響を与えてきた - 世界で最も貧しい人々から貴重なタンパク源を奪っていること、ほぼすべての合法的な漁民の生活を破壊し、熟練した漁業を残していた沿岸地域へのトロール船で侵入、地元の漁船との衝突や漁具の破壊、漁民の事故死の危険性などである。

IUU漁業は世界全体で40億ドルから90億ドルと推定され、特にサハラ以南アフリカソマリアの海域がその大半を占めている。IUU活動では、母船工場を通じた漁獲ロンダリングが行なわれている。海上での野放しの積み替えや補給がなされている。燃料の海上補、乗組員の海上での交代などで、船は数ヶ月海上にとどまる。違法操業船は、獲得した魚を輸送船に海上で積み替えるので、寄港する必要がない。

違法に獲得した魚その他の海洋産物は輸送船上で合法的に獲得した魚と混ぜることにより、「洗浄」「訳注:犯罪収益を合法の金と混ぜることをマネーロンダリングというが、この場合は、金ではなく魚であるが、手法は同じである)される。闇市場で数百万ドルとなる魚ロンダリングは、マネーロンダリングに劣らない犯罪だが、まだ処罰されていない。ソマリアの魚ロンダリングには、セーシェル、モーリシャス、ケニア(Kiunga、モンバサ)とモルディブの港が含まれている。

EUが魚の再生を可能にするために、5~15年間、多くの漁場を閉鎖したことにともなって、アジアが自身の海での乱獲にともなって、栄養価の高い水産物への国際的な需要の増加に伴い、世界的な食糧不足の懸念が増すのにともなって、規制も保護もされていないソマリアの海は多くの国の違法漁船の標的になってきた。

1991年にバレ政権の崩壊直前の国連、ロシア、スペインの審査官による調査では、少なくとも年間20万トンの魚が漁民と工業的な漁業によって持続的に収穫することができたと評価されているが、これは現在の国際的な違法漁業による略奪の​​対象になっている。オーストラリアの科学者は、少なくとも30万トンになると推定している。

ソマリア海賊の起源

ワルド氏は、彼の国、ソマリアについて注視してきたが、海賊の起源を跡づけ、1991年にまでさかのぼるという。同時は、シアド・バーレ政権が崩壊し、ソマリア海軍と沿岸警備隊の崩壊をもたらした。

「973年から1974年と1986年の深刻な徴兵の結果、数万の遊牧民は、その家畜を殺され、3300キロの海岸地帯の漁村に再定住させられた」と言う。再定住させられたグループは、その生計のために、主に沿岸漁業に依存する大規模な漁業コミュニティを発展させ、同時に、沖合での漁獲物の加工も行なうようになった。

ソマリアの内戦の当初から(1988年)違法なトロール船は、12海里の沿岸零細漁業水域を含むソマリア海域に侵入し、操業を始めた。密漁船はアフリカの角の先端に沿って暖かく60キロの深い大陸棚の広がりに生息する豊富なロックロブスターや遠海魚を奪い合う。

「ECOTERRAインターナショナルとワルドは、次のように戦争で荒廃した国が引きおこした致命的な出来事について説明している。「地元の漁師とIUUベンチャーの間の海賊戦争がここに始まりました:、地元の漁師は、カヌーの漁師にトロール船が熱湯を浴びせ、漁網を切断したり破壊し、小舟が破壊されて乗員がみな殺され、彼らは自国の漁業を守ろうとして、その他の虐待に苦しんだ事件を報告している。」 ECOTERRAインターナショナルは、よく多くを持っている1992ー3年の災害を緩和するために、国際社会からの緊急資金によって提供された漁網は、それらがソマリアの貧しい漁村に提供されたわずか数日後に外国のトロール船によって海岸から一掃されたということも報告している。

その後、漁師は、自ら武装するようになった。これに対抗して、外国漁船の多くもより高度な武器で武装し、再びソマリア漁民を圧倒し始めた。地元の漁師が自分の戦術を見直し、それらのハードウェアを近代化するのは目にみえていた。この武力行使のエスカレーションとサイクルは、1991年から現在まで続いている。それは今では完全に本格的な違法操業と海賊の紛争へと発展した。加えて、やがて、もし外国の影響が阻止されなければ、こうした紛争は政治化され先鋭化されるようになるだろう。

公海タスクフォース(HSTF)(訳注:http://www.illegal-fishing.info/sub_approach.php?subApproach_id=44、Australia, Canada, Chile, Namibia, New Zealand、the UKの水産省とNGOによって設立されたIUU漁業問題に取り組むために2002年に設立された組織)によると、2005年にソマリア海域には、ソマリアの自国海域と漁場の警備と監視の能力がないことをいいことに、800隻以上のIUU漁船が同時に活動していた。密漁者は、ソマリアで毎年450万ドル以上を得ていると見込まれており、かれらは、地元の漁民への補償をすることもないし、税金や使用料も支払ず、規制に従う漁業に定められている諸々の規則、管理、保全、環境規制を尊重していないのである。

EUに関りがあるIUU漁業だけで、EUがソマリアに与えている援助の5倍以上を得ていると考えられる。

違法な外国のトロール漁業は、1991年以来、ほぼEUとアジアの水産企業によるものである。すなわち、イタリア、フランス、スペイン、ギリシャ、ロシア、英国、ウクライナ、日本、韓国、台湾、インドであり、またイエメン、エジプト、ケニアもこれに加わっている。

1991年から2009年の間にソマリアの自警団(訳注:特定の団体を指しているものではないと思われる。原文は、Somali vigilant groups)によってソマリア沿岸で拿捕された違法船は、台湾のトロール船Yue Fa 3号,中国のYuein 232号、FV Shuen Kuo 11号、イタリアで登録されているFV Airone号, FV De Giosa Giuseppe号 およびFV Antonietta Madre号の3隻、ケニアに登録されているが、モンバサのMarship株式会社が所有しているFV Bahari Hindi号、ロシア船籍のGorizo​nt-1号とGorizo​nt-2号、中国船籍の天城8号、韓国船籍のドンウォン168号、FV Beira 3号, FV Beira 7号、FV Maputo号、ギリシャ船籍のGRECO 1号とGRECO 2号、スペイン漁船Alakrana号、laya de Bakio号、台湾の漁船、極東161号、エジプトの漁船、Ahmed Samar号とMomtaz-1号などである。

イタリア登録SHIFCO船(訳注:SHIFCOはSOMALI HIGH SEAS FISHING COMPANYの略称、1981年に設立されたソマリアの開発と外貨獲得を名目としたイタリアとソマリアの開発プロジェクト、http://www.somaliaonline.com/community/showthread.php/35702-Muunye-amp-SHIFCO)、韓国やクライナのトロール船、インド、エジプトとイエメンの漁船は、当該の自警団によって拿捕され、その犯罪的な船主はかれらの船舶と乗員の解放のために様々なレベルの罰金を支払った。

ソマリア漁場で頻繁に違反を繰り返している多くのスペイン漁船は、たびたび拿捕を免れることに成功してきた。バスクの漁船は、特に狡猾で武装もしている。また、少なくとも19隻のケニアのトロール船がUNCLOS(海洋法に関する国際連合条約)とFAO(食糧農業機関)に反して、不法にソマリア領海で操業している。

ソマリアのアナリスト、ワルドは、1991年のソマリア政府の崩壊後、偽造ライセンスの取得を目的として国外で、ソマリア軍閥とマフィアまがいの企業との間での取決めがなされたと述べている。彼によれば、マフィアもどきのソマリアと欧州の合弁企業が、ソマリア軍閥と密接なかかわりをもちながらヨーロッパとアラビアで設立され、この軍閥が、ソマリアの海洋資源を略奪する意図をもつ事実上すべての海賊目的の外国漁船に偽造ライセンスを発行したという。

英国とイタリアを拠点とするアフリカー中東貿易株式会社(AFMET)、PALMERA、UAEを拠点とするSAMICO社は偽造ライセンスを発行するだけでなく、密漁の戦利品をわけあう軍閥フロント企業でもある。

マフィアもどきの会社、AFMETやPALMIRA&SAMICOなどへのテクニカル・アドバイザーのあいだで、英国のマクアリスタ、エリオット&パートナーズなどは信頼できる企業とみられているようだが、他方で、軍閥ハメド·ファラー・アイディード将軍、モハメド・ヘルシ・モーガン将軍、オスマンアトやアリマハディモハメド元大統領は、書面で公的にAFMETに漁業ライセンスを発行する権限を与えた。地元の漁師や海洋専門家は、単にこれを「泥棒間の契約」と呼んでいる。アナリストはAFMETだけがを提出し、4ヶ月の漁期に対して30,000ドルで43隻の漁船(主にスペイン籍) に「ライセンスをあたえ」た。スペインのペスカ・ノヴァはAFMETによって「ライセンス」を与えられ、フランスのコブラカフ・グループは、1漁期1隻につき15,000ドルの割引料金でSAMICOからライセンスを得た。

1999年10月にプントランド政権は、オマーンに登記されているPIDCとして知られているもうひとつのマフィアグループに、操業、ライセンスの発行、プンタランドの警察権についての自由裁量権を与えた。

「PIDCは次いで、英国拠点のハートグループインターナショナルと契約し、2年で2000万ドル以上の利益をあげ、復讐を込めてソマリアの漁場を略奪している」とワルドは暴露している。

取引は利益を山分けすることであったが、PIDCはプントランド政権の背後にいる者たちと戦利品を山分けことに失敗し、ライセンスの取り消しとなった。

専門家は、海賊たちがソマリア沖の世界で最も豊かなマグロの漁場へのアクセスを阻止したために、南·西インド洋でのマグロ漁は昨年30パーセント減少したと語っている。

複数の報告は、ソマリアの海賊がインド洋地域全体60億ドルにのぼるマグロ漁業を脅かしていると示唆している。

セイシェルに拠点をおくフランスとスペインの漁船団は、2008年の8月から11月の間に、ソマリア沖でその年の漁獲量の3分の2近くを得ることを目論んでいた。約50隻のトロール船はヴィクトリア港を利用し、35万トンのマグロの水揚げが毎年ある。しかし、マグロの資源が減少するにつれて、2年連続して不漁となった。

セイシェルの漁業専門家は外貨獲得がマグロ漁の不漁で減少し、債務に苦しむこの群島の経済復興は見込めない。セイシェルでは、マグロや関連産業では船舶への燃料の再輸出、港湾サービス、船舶向けの電気や水の供給がセイシェルの外貨獲得の最大40%を占めている。マグロ漁業は、秘密に包まれているために、セイシェルの金融関連情報へのアクセスは難しい。

セイシェルは、港湾施設ーーこの群島の重要な外貨獲得源ーーに荷揚げされた魚のトン当たりで支払いを受ける。 漁獲減少は港の必要性の低下を意味する。8月から11月まで、ソマリア排他的経済水域(200海里(nm)EEZ)は、キハダマグロの地球上最も裕福な資源を有する海域である。 (注5) 2006年には主にマグロを追いかけてソマリア海域で違法漁船が常に数百隻存在していた。ソマリアの海賊は、彼らの海洋資源だけでなく、その小さなボートや設備を破壊する外国漁船を阻止するために、ハイジャックをするようになったのだ。 2008年にソマリアの海賊は、100万ドル以上の身代金を獲得することになったマグロ船襲撃を少なくとも3回行った。

罰金や身代金は、単に他の船を襲う犯罪的なソマリアグループの欲望を増加させ、その後獲得した。

商船への悪名高い海賊行為は、詐欺的なIUU漁業に関心を向けることがなければ、解決することはほとんどできない。

●2008/2009年の海賊事件

2009年終わりに近づくにつれて、ソマリアの海賊には終わりがないことが明らかになった。提案された解決策にも終わりが見えない。 2009年にソマリアのアデン湾や東海岸の海賊攻撃の総数はIMBの海賊報告センターの統計によると、2008年の総数を追い抜いた。 2008年には111事件が、2009年に114件の攻撃未遂があった。これらの攻撃のうち、2008年のハイジャック142隻と比べて、2009年には42件が成功している。

しかし、2009年には、ソマリア東沖の活動が急増した。2008年の19件から2009年12月まで43件に増加した。これらの地域での船舶への放火が、2008年の39件から2009年12月までで54件に増加した。また、乗組員の人質の数もこのままいけば増加するだろう。2008年の乗組員の捕虜の数は815人、2009年にこれらの地域での人質の総数は既に753になっている。

2009年の最初の9カ月で、32隻がハイジャックされ、533人の乗組員が人質となっている。さらに86隻が2009年12月1日には、人質275以上の乗組員と14隻は、交渉中だ。ナイジェリアはもうひつとの懸念される地域である。正式には2009年にわずか20件の攻撃しかIMBに報告されていないが、他の情報源によれば、主に石油関連船舶への攻撃の少なくとも50%が報告されないままになっているという。

最近の海賊事件と交渉リストは、この記事の最後に示す。(本翻訳では省略)

●船員の福祉

海賊行為が発生した場合、世間の注目は主に攻撃の凶悪なやり方やいかにしてハイジャックが解決されたのかという問題に焦点があてられている。船舶所有者は、いかにして乗組員、船舶と貨物を救出するかに関心を寄せる。

したがって関心と多くの不安は成功裡の救出や解放の瞬間に終わる。そして、我々はハイジャックという試練の終わりが乗組員にとっては、彼らは自分たちの残りの人生を外傷性の悪夢とともに生きることになるのを忘れてしまう。

問題は次のことだ:世界の海運業界や福祉ロビーは、海賊の手に落ちた船員の窮状への十分な注意を与えるよう働きかけているだろうか?悲しいことにNO!だ。以下は、そのような乗組員が直面している課題の一部である。

(a)船員への攻撃の後遺症
(b)頻繁に起きる船主による人質と船の放棄
(c)賃金と給付の面で船舶の航海士と旗国が影響を受けた船員を無視していること。

(中略)

●有害廃棄物の投棄

IUU漁業と密接にかかわる別の大問題は、ソマリアの沖合と陸上の両方での産業廃棄物、有毒物質、核廃棄物の投棄である。ソマリアの様々な地域で漁民は、廃棄物の不法投棄その他の生態系の破壊を国際社会に長期にわたって訴えてきた。

1980年代後半以降、こうした廃棄物の投棄、軍閥やマフィアの取引き、ソマリアの水産社会や市民社会の声を大にしての批判は、国連や国際社会には知られてきた。当時、ムスタファ・トルバ国連環境計画(UNEP)事務局長は、事件の徹底的な調査の情報源を明かさないことによって、エコロジストたちが不法投棄マフィアの標的にされないように助力した。殺人の危険が潜在していたからだ。

国連機関や組織は、これらの危機を十分に認識しており、しばしば関心や悲嘆を表明したが、ムスタファ・トルバを別にすれば、こうした犯罪行為にたいして積極的な対応はとらなかった。

ワルドは、2008年までに海賊行為に関する安保理決議1816,1815,1814,1846、1838、1851を可決する前に、国連諸機関はソマリアの悲劇を国連安全保障理事会に知らせることに明かに失敗したのではないかという見解をもっている。これは、[国外の]違法漁業という海賊行為、有害廃棄物の投棄、またはソマリア漁民の窮状について、これらの国連安保理決議のいずれにおいても言及されていないことに注目すべきだ。

有害廃棄物の投棄、外国船による海賊漁業、ソマリアの海洋資源の乱獲は、この地域の生態系に半永久的な悪影響を及ぼす可能性がある。ソマリア海域の取締りがなされず野放しであることが原因で、多くの外国船の有害廃棄物の無差別な投棄によってアデン湾とインド洋の海域が汚染されている。ヨーロッパ諸国は​​、ここ数年、ソマリア沖合に有害廃棄物と放射性医療廃棄物を投棄している。

加害者として特定されたものには、イタリアの企業(Progresso)とスイスの企業(Achair Partners)が含まれるが、多くの不明なケースが存在している。

これらのケースは、これらの企業はおそらくソマリア領海への投棄についてソマリア政府関係者との契約を結んだことを理由に、最近,国連環境計画(UNEP)によって「正当化」されていた。 しかし、戦争と不安定な最中に、ソマリアの主権の及ぶ地域での有害廃棄物投棄をこの国が交渉できるはずがないことは明らかである。

Achair Partner社とProgresso社は、有害廃棄物を処分するために、大産業諸企業によって架空の会社として特別に設置されたものだ。こうした会社は、ソマリアのような外国への有害廃棄物の輸出に関する国際条約に違反している。

この投棄の影響で、沿岸コミュニティでは、毎月のように人々の死亡や深刻な影響が生じていると報じられている。例えば、中央ソマリアのGalgadud地域のEel-Dheer地区で、油性液体の入ったダークブルーの大きな容器が1992年4月に漂着したりしている。

この容器から採取されたサンプルの検査の分析結果では、致命的な放射性廃棄物が含まれていることがわかった。同様の事件は、1996年にAdale地区でも起きている。

1998年には、あらゆる魚種が影響を受けて大量死したことが報告されている。45キロにおよんでモガディシュからウォーシェークに至る沿岸に沿って大量の魚が漂着したのだ。こうした魚と人間の死は、ソマリア海域での有害廃棄物の結果である。どこの国でも、このような不法投棄に対処するための政策があるが、残念ながらアフリカ最長の海岸線を持つ国ソマリアでは、これらの問題に対処する基本戦略がない。ソマリアは、現在、原油流出その他の潜在的な海洋災害に対処する準備がなく、沿岸水域を監視し制御する機能もなく、海の捜索や救助活動も提供できない。

ソマリアは、世界の豊かな五大漁場の一つとされ、かつては悪用されることがなかった。それが今では、当局の監視がないために、荒廃し汚染されてしまった。現時点での漁獲水準が今後も続けば、漁業資源は枯渇の危機に瀕するだろう。第二に、ソマリアの人々は、適切に漁業許可を与える力もこの海域を警備する能力もないために、こうした資源からの所得を得られないでいる。国連や海軍も、その国では犯罪となる違法な外国漁船の活動を黙認している。違法投棄者や密猟者は国際法廷による訴追があってしかるべきにもかかわらず、現状のソマリアでは、それが放置されたままなのだ。

正義と公平は、海賊漁業と海賊行為というふたつの問題を見過ごしてきたのである。

同様に、2005年に、憂慮すべきこととして、エリトリのイサイア・エリトレア大統領とイタリアのベルルスコーニ大統領の間で結なれた秘密協定がある。それはイタリアが1200万ドルと引き換えにエリトリアの核廃棄物136トンを廃棄するという協定である。非常に危険な物質がマッサワ地方のエダジェとトゥワレトに投棄されたことが報告されている。イランも、石油や金と引き換えに、エリトリアに廃棄物680トンを投棄することを実現しており。心が痛む話である。

●結論と提言

EU、NATO、中国、ロシア、米国海軍は、漁民出身の海賊とこれを支援するーーそれは違法、犯罪行為ではあるがーー沿岸地域を壊滅・根絶やしにする力を有している。

こうした力は一時的に海賊を減らすことになるかもしれないが、問題の抜本的な解決にならないだろう。

外国人の乗組員の命が失われ、大規模な油流出事故の影響のリスクは、東アフリカとアデン湾全体の沿岸地域の大規模な生態学への大被害をもたらす。

こうした先進国の現在の作戦があるなかで、ソマリアの漁民の海賊たちは、自分たちが漁場(両方200マイルの領海とEEZ水域)を保護していると本気で信じている。彼らはまた、力づくで正義を取りもどし、違法なIUUによる海洋資源の窃盗や生態系の破壊への補償を要求している。そして、彼らの考えは、沿岸地域コミュニティに完全に支持され、このコミュニティがその保護者になり、またこうした行為の当事者にもなっている。

この問題では、慎重な検討と地域環境についての十分な理解が必要である。海賊行為は、地域の問題に基づいており、それは、その地方および外部パートナーの包括的かつ共同のアプローチが必要である。

まず第一に、実用的かつ永続的な解決策は、共同で海賊と海賊的漁業、この危機の根本的な原因という二つの問題に対処することにある。

第二に、国家の制度的危機は海賊の問題と一体のものとして検討する必要がある。

第三に、特に沿岸警備隊を形成し、訓練をほどこし装備を提供することに、地方機関が関与し支援を与えられるべきである。これらは、あまりに多くを国連機関に依存しているように見える。しかし、我々は、何百万ドルもの身代金を、何ヶ月もの間人質になっている愛する人たちを救おうとして身代金を支払う人たちにとって、これは何を意味しているのかと、わたしたちは問いかけるべきである。

第四に、現在ICAO(国際民間航空機関)がソマリの空域でやっているような国連とソマリアの共同監督機関が、ソマリア海域のために考慮されるべきである。陸地での安定の回復と効果的な機関と構造がソマリアで回復されなければ海賊問題は完全にはなくならないだろう。

●必要なアクション

  • ソマリア海域とその周辺での不法投棄や違法操業に対する国際的な海軍艦隊によるすみやかな活動
  • ソマリアの漁業、環境保護の法規制や制度の見直し
  • ソマリアにおける分権的統治と法制度の強化
  • 影響力のあるソマリアの政治、ビジネス、市民団体の支持の獲得
  • ソマリア沿岸地域におけるインフラ整備
  • 沿岸部の所得創出の可能性とソマリアの漁業の開発
  • すべてのソマリアのための海賊についての国内法の開発
  • ソマリアの法執行機関の設立(海軍、沿岸警備隊)
  • ソマリアの遊牧民と適切な領域管理の​​支援
  • ソマリアの違法な武器取引や人身売買をなくすこと
  • 有害または核廃棄物投棄、IUU漁業に対する地域行動計画の確立
  • RCICPs(海賊行為に関する地域連携と情報センター)の確立。

追加リソース

http://bit.ly/cVwbNw

  • アデン湾と西インド洋の2010年のハイジャック[PDF]

http://bit.ly/a6xh5C

  • 2010年ハイジャックにおける船舶の種類と状況[PDF]

http://bit.ly/a6xh5C

報告(動画)木元茂夫さん@第3回学習会 『自衛隊のアフリカ派兵 海賊より恐い「海賊対処法」 』

5月13日に開かれた、第3回学習会『自衛隊のアフリカ派兵 海賊より恐い「海賊対処法」』より、
「自衛隊の現状とアフリカ派兵」木元茂夫さんのレクチャーです。


木元茂夫 自衛隊の現状とアフリカ派兵 横浜でTICADを考える会第3回学習会 - YouTube

撮影・編集:木村静さん

配布資料 http://sdrv.ms/14a7SAo


木元茂夫さん(すべての基地にNO!を ファイト神奈川)

報告(動画)高林敏之さん@第3回学習会 『自衛隊のアフリカ派兵 海賊より恐い「海賊対処法」 』

5月13日に開かれた、第3回学習会『自衛隊のアフリカ派兵 海賊より恐い「海賊対処法」』より、
「平和主義」の崩壊と「帝国の復活」高林敏之さんのレクチャーです。


高林敏之 <海賊対処>と自衛隊ジブチ基地設置のもつ意味 横浜でTICADを考える会第3回学習会 - YouTube

撮影・編集:木村静さん

配布資料http://sdrv.ms/14a89U7


林敏之さん(西サハラ問題研究室 主宰)
blog: http://www.geocities.jp/viva_saharawi_tt/
Twitter: @TTsaharawi

「貧しいものが貧しいものを攻撃するとき」チャイナ・ングバネ ~横浜でTICADを考える会 資料2~

6/1シンポジウムゲストのチャイナ・ングバネさんの新聞への寄稿記事です。


「貧しいものが貧しいものを攻撃するとき」チャイナ・ングバネ(China Ngubane)

ダーバンの朝刊紙「マーキュリー」2010年8月3日 寄稿欄「社会への目」
Library - Online Library

 先週の土曜日の朝、これ以上近くでは見れないだろうと思うくらいの至近距離で、外国人排斥行為を見た。それはダーバンの紛争地域であるボトルブラッシュのある貧しい地域での怒りの表現であった。

その約4000人の掘っ立て小屋がひしめく居住地域は、チャッツワースにあり、アフリカ民族会議(ANC)内の2つのシンパ間の分裂に苦しんでいる。

そこは、指導権争いと軍閥主義でよく知られ、特に荒れている居住地域ではある。しかし他の100あまりの同じように貧しい居住区と多くの点で同じ状況にある場所である。


7月25日の会合は、ボトルブラッシュから300人が集まって、数時間にわたって続けられた。クワズル・ナタール大学市民社会センターから私たち3人が加わり、地域のリーダーの立会いの下で、私がズールー語で話をした。

私たちの訴えは、2008年5月、そして3週間前にちょうどワールドカップが終わった時に発生した襲撃事件と集団逃走の原因である移民への抑圧をやめるべきである、というものだった。

住民からは、あんた達は何者なのか、そしてどこから来たのかと聞かれた。私はジンバブエ出身であり、もう一人のスタッフはコンゴ出身と答えた。また、市民社会センターはどこの政治団体と繋がっているのかとも聞かれたが、どのような政治勢力とも繋がっていないことを説明した。また、お前達は権力の犬、回し者、裏切り者ではないのか、とも問いつめられたが、そうではないと答えた。


私たちのセンターは全ての地域社会に関する困難に取り組む人々のための活動拠点を提供している。外国人排斥は南アフリカの市民社会を内側から食いつぶしている主たるガンである。私たちは最近、「アトランティック慈善事業」と「ジョハネスブルグNGO戦略・戦術」がコーディネイトした10人の研究者からなるナショナル・チームによる100頁の報告書を発表した。

ボトルブラッシュへの訪問は、そこで広範囲に調査をしている市民社会センターの研究生であるトレヴァー・ングワネの調査を受けたものである。ングワネの報告によれば、政府のプロジェクトで完成したばかりの住宅でも、それまでのレンガ造りの古い家と見分けがつかず、薄汚れて、質も標準以下に見えた。

ングワネの観察によれば、「ボトルブラッシュには、電気は来ているが、路上の電柱の電線は大混線しており、それぞれの庭に何とか引き込まれている状態だ。ほとんどの家は錆びついた釘で板を打ち付けただけのもので、一つの敷地に13軒も詰め込まれている。」

その居住地域は、〔アパルトヘイト時代の〕20年前、近くのクワ・ンデンゲニ居住区での政治的暴力からANCメンバーが避難してきた時につくられたもので、現在もANC支部執行委員会が支配している。ングワネによれば、「この問題について話してくれた人のほとんどが、この執行委員会の力不足、そして明らかに腐敗した指導権にたいして怒っていた」。


私たちはこの地域のリーダー、フンディシ・ムロンゴからの招待を受けてボトルブラッシュを訪問した。私たちの目的は住民の悩みを聞き、経験を共有することだった。

ボトルブラッシュのリーダーたちは地域のエリートによる詐欺と汚職、まともな住宅建設、電気、水、そして衛生環境の必要性、高騰する公共料金への不満について話しあった。住民はモロンゴの知識を高く評価し、会合は彼が、来年の地区選挙に区議員として立候補することを決めた。


ところがそのあとに厳しい局面が待っていた。移民のせいで自分たちの状況が苦しいと住民達が説明しだしたのだ。

地域の企業が地元出身の従業員を解雇して、それよりもずっと安く雇用できる外国人に置き換える――かれらは生活できる賃金を地元民たちと一緒に闘いとろうとはせず、日給20ランドという低賃金を甘んじてうけとる――からであり、移民が自分たちの仕事を奪っていると移民を責めたのだ。地元従業員一人の給料で、4人のジンバブエ人を雇えるという。

住宅について言えばこうだ。移民の人々はちいさな小屋にたくさん住み込み、みんなで家賃を出し合うので、普通よりも高い家賃を支払うことができるので、大家も移民に住宅を貸したがる。地元民は住宅提供にありつけない。地元住民は一軒あたり200ランドの家賃を払う。しかし立場の弱い移民は、一人当たりの家賃が割高でも5人で100ランドずつだしあって500ランドの家賃を支払えば、大家はそっちのほうに家を貸す。

ングワネが言うように、「ボトルブラッシュでは住宅問題が外国人排斥を引き起こしている。これは、住宅供給量不足とアフリカ移民が置かれている弱い立場を利用する悪徳な大家がいるからだ」


私たちは、あやしい南アフリカ企業の進出によってコンゴ民主共和国が略奪され、自分たちがとんでもない運命をたどることになった話などをした。私の国の背景については、ズールー王国国王シャカのもとから離れてマタベレランドを建国したムジリカージにまで一部はさかのぼることができると説明し、現在ジンバブエの州であるマタベレランドには、クマロ、ンドルヴ、ドラミニといった南アフリカにもいる氏族が一杯いる、外国人を排斥する者は、ジンバブエ人を襲撃することによって自分たち自身の民族の血を流しているのだと指摘した。

アパルトヘイト時代、私たちはジェイコブ・ズマ(現南ア大統領)やその他大勢の解放運動関係者に避難先を提供してきた。それに対して親切でお返しを受けるどころか、民衆の民主的反対運動を鎮圧したジンバブエムガベ大統領を南ア政府が支援し、選挙での詐欺や暴政を隠蔽するのを手助けするという形のしっぺ返しを食わされている。


私は、ボトルブラッシュの住民に対して、植民者たちによって押しつけられた国境を正当化しないで欲しい、アフリカ人をみんな一つの同郷人として扱ってほしいと懇請した。移民たちは好きこのんで愛する家族やふるさとを後にしているわけではない。ジンバブエ人だけでなく、コンゴ人も、ブルンジ人も、ソマリ人も、エチオピア人も、ルワンダ人も、その他の人たちもみんな専制的政権から自分の身を守るために逃げてきているのだから。


私は、何年か前にジンバブエと南アの国境を流れるリンポポ川を渡ったときのことを話した。南アに逃れてきたジンバブエ人の大半は、ムガベ、そして「グリーン爆弾魔」と呼ばれた彼の殺し屋民兵から逃げてきたのだ。

私たちのあるものは、夜襲われ、自分の目の前で家族をめった打ちにされ、拷問、殺害され、家や重要書類を焼かれ、なかには目の前で子どもや妻をレイプされた人もいるのだと。

その時期はジンバブエの経済が崩壊し、多くの会社がつぶれ、人々は野生する果物をたべて飢えをしのいだ。だから、こんなにも大勢のジンバブエ人が南アフリカにいるのだ。


ジンバブエ問題において南部アフリカでは調停者である南ア政府は、ムガベの盾になることをやめるべきだ。ジンバブエでの自由で公正な選挙こそが政権の体質を変えるはずなのに、ムガベを支援し続けることは、ますます多くのジンバブエ人を南アに送り込むことにしかならない。

もし南アフリカ人が住宅不足と失業の危機で苦しんでいるのだとしたら、これらを同時に解決しようではないか。ワールドカップでは新しいサッカー・スタジアムが建設された。それとおなじように、意欲的で緊急の大規模住宅建設計画を要求しようではないか。

みんなの知恵と思いを寄せ集めれば解決策はある。


モロンゴがボトルブラッシュ住民に向かって訴えた。「私たちは外国人を叩いてはいけない」


f:id:ticakov:20130514220725j:plain

報告(動画)山中達也さん@第2回学習会 「北アフリカ革命 もうひとつの世界への模索」

3月30日に開かれた、第2回学習会『北アフリカ革命 もうひとつの世界への模索』より
「独裁と新自由主義からもうひとつの世界へ:チュニジア民衆の闘い」 山中達也さんのレクチャーです。


チュニジア民衆の闘い 山中達也 (横浜でTICADを考える会第2回学習会3 ...
撮影: 橋本康二 編集: 木村静


山中達也さん(明治大学商学部助手)
研究テーマ:中東・北アフリカ諸国経済, EU・地中海地域のFTAについて
論文
「独立後チュニジア社会・経済の諸問題—ベン・アリ体制崩壊と世界システム—」『商学研究論集』第37号,明治大学大学院,2012.09
「独立後チュニジアの経済政策—深刻化する高失業率と外部依存—」『情況』2012年3・4月号,2012.03
「アラブ民衆革命の経済的要因分析—チュニジアとエジプトを中心に—」日本国際経済学会 関東部会 ,2012.06
翻訳
アラブの春の訪れか?」サミール・アミン 『オルタ』2012年1・2月号,アジア太平洋資料センター(PARC)

報告(動画)高林敏之さん@第2回学習会 「北アフリカ革命 もうひとつの世界への模索」

3月30日に開かれた、第2回学習会『北アフリカ革命 もうひとつの世界への模索』より
「北アフリカ革命と日本・アフリカ関係」 高林敏之さんのレクチャーです。


高林敏之 北アフリカ革命と日本・アフリカ関係/横浜でTICADを考える会第2回学習会1 ...
撮影: 橋本康二 編集: 木村静

配布資料 http://sdrv.ms/13TDYUf
結成トークセッションの報告はこちら↓
http://ticakov.hatenablog.com/entry/2013/04/10/142703


林敏之さん(西サハラ問題研究室 主宰)
blog: http://www.geocities.jp/viva_saharawi_tt/
Twitter: @@TTsaharawi

お知らせ 5/13『自衛隊のアフリカ派兵 海賊より恐い「海賊対処法」 』横浜でTICADを考える会 第3回学習会

『自衛隊のアフリカ派兵 海賊より恐い「海賊対処法」』横浜でTICADを考える会 第3回学習会

日時 5月13日(月) 18:30~20:30
会場 開港記念会館 9号室
交通 みなとみらい線日本大通り」駅1分、JR関内駅10分
地図 http://www.city.yokohama.lg.jp/naka/kaikou/acces.html
会費 500円

 5月13日の3回目は「自衛隊のアフリカ派兵 海賊より恐い『海賊対処法』」がテーマです。
ソマリア沖の海賊対策としてジプチに基地を開設していますが、政府は新たに東アフリカ諸国で海賊対策を担う海上保安組織を育成するために人的及び金銭的援助を決定しました。
一方、自衛隊は現在、南スーダンにPKO派遣されています。
2006年に海外派遣が付随任務から本来任務に格上げされ、今また、「PKO5原則」の見直しも言われています。
これまでPKOがどのように変貌してきたか、今後、海外派遣がどのように変わっていくのか、高林さんと木元さんのお二人からお話をうかがって考えて見たいと思います。
ぜひお集まりください。


【おはなし】
 高林敏之さん 西サハラ問題研究室( http://www.geocities.jp/viva_saharawi_tt/
 木元茂夫さん すべての基地にNo!をファイト神奈川


第1回学習会:平和と友情が築かれるアフリカと日本のために(2/27)
 http://ticakov.hatenablog.com/entry/2013/03/21/142438
第2回学習会:北アフリカ革命 もうひとつの世界への模索(3/30)
 http://ticakov.hatenablog.com/entry/2013/04/10/142703