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       6/1(土)シンポ&デモ!「誰のためのTICAD(アフリカ開発会議)か?
         -グローバリゼーションのなかで搾取と排除に抵抗するアフリカとアジアの人々-」
           http://ticakov.hatenablog.com/entry/2013/05/10/183546

           ゲスト  チャイナ・ングバネさん (南アフリカ共和国:クワズールー・ナタール大学市民社会センター)

           シンポジスト 稲葉奈々子さん( NO-VOX 「持たざる者」の国際連帯行動 )
                    近藤昇さん( 寿日雇労働者組合 )
                    小倉利丸さん( 横浜でTICADを考える会 )
                 
           シンポジウム宣言:http://ticakov.hatenablog.com/entry/2013/06/06/231359

「なぜアフリカにとってTICADなのか」 ケープタウンで行われたTICAD Ⅴ セミナー

報告 TICAD アフリカ

南アフリカ ケープタウンで行われた「TICADイニシアチブを促進する(Accelerating the Tokyo International Conference on African Development Initiative)」について、福島康真さん(横浜でTICADを考える会)によるレポートです。

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 5月20日の夕方、ケープタウン市内で行われたケープタウン大学紛争解決センター主催のセミナー「TICADイニシアチブを促進する(Accelerating the Tokyo International Conference on African Development Initiative)」に出席してきました。スピーカーは、吉澤豊・在南ア日本大使と、スカーレット・コーネリッセン・ステレンボッシュ大学政治学教授。

参加者は50人弱ほどで、半分近くが大学関係者、残りがローカルビジネスに関わっていると思われる人たち、そして日本人は、こちらの大学で研究休暇中の研究者、飛び込みだと思われる英語学校に通う女性、そして私の三人でした。

吉澤大使のスピーチを一言で言うと、TICADの紹介といかに日本が南アに投資しようとしているかというプロモーションでした。TICADの歴史について説明した後、今回のTICADについては、南アのズマ大統領を含めアフリカ首脳が14人出席することに加えて、初めてビジネスミーティングを開くとともに、経団連がアフリカ首脳と昼食会を開くのが大きな前進だと述べていました。
日本が行おうとしているプロジェクトをいくつか紹介し、また南アに進出している日本企業を紹介したりしましたが、特に、アフリカの平和と安定のために今年1月、5億5000万ドルを「紛争地域」に援助することを決めたこと、産業界への人的資源開発のプロジェクトとして、JICAがカイゼン運動を紹介・導入したりしていることなどを強調していました。
また日本はこのプロセスで、南-南協力、三角協力(日本-ブラジル-モザンビークで行っているプロサバンナ事業)に力を注いでいるとも言っていました。

コーネリッセン教授のコメントは、なぜアフリカにとってTICADなのか、TICADプロセスで何が得られるのか、どこへ向かおうとしているのか、という三点を吉澤大使に問う形で行われました。
アフリカの人々は日本についてほとんど何も知らないこと、日本の援助には政治的な条件付けがあること、中国、ヨーロッパ、アメリカ、韓国もアフリカとのフォーラムを作っており、アフリカの首脳がすべてに出席するのは無理なことなどなど、日本の存在感はほとんど見られない状況があると述べていました。また、日本は今回のTICAD Vで「アフリカのオーナーシップとパートナーシップ」を提案しているが、これはそもそも世銀や欧米などが掲げてきたものであって、目新しいものではないとも述べていました。
アフリカがTICADプロセスで得られるものは、アフリカのリソースへの投資と、それによるビジネスの増加と成長、製造業やサービス業の多様化になるだろうが、投資と開発の関係について注意しておくことも必要と述べて、JICAが行っているモザンビークでの稲作プロジェクト(プロサバンナ事業)などの農業投資と開発の関係についても触れていました。
また、日本のアフリカへの投資額は、日本の総投資額のわずか2-3%でしかなく、それをどう増やすのかということになる。ちなみに中国は4-5%ほど。つまり、日本によるアフリカへの投資はどういう意味を持っているのか考える必要があると言っていました。
最後に、TICADプロセスの特徴はすべてトップダウンで、そこには市民社会やNGO、学術分野が全く参加しておらず、人々が何を求めているかが反映されていないと述べていました。

あとは質疑応答が行われたのですが、その中で、なぜ日本は2%しかアフリカに投資していないのか、また日本によるアフリカへの援助と、中国やヨーロッパ等の援助の違いは何かという質問に対して、吉澤大使は、投資が少ないのは日本企業はアフリカのことを知らないのに加えて、労働規制が厳しいために投資が進んでいないと述べ(これは南アのことだと思われる)、また援助に関しては、ヨーロッパは伝統的なつながりがあり、中国の援助は政治的なモチベーションが非常に強いと言っていました。日本の援助は政治的な意図はないということなのでしょうか?
ほかにも、日本も汚職や腐敗の問題を抱えているが、それへの取り組みからアフリカは何を学ぶことができるかという、非常に難しい質問もあったのですが、とても歯切れの悪い返答をしていました。これは仕方がないのかもしれませんが、汚職と不正が蔓延している南アフリカの人にとって、世界第三位の経済大国が何をしているのかは無視できないことなのだと思います。
また、日本と中国は隣国どうしだが、援助や投資での関係はどうなのかという質問に対して吉澤大使は、日本企業と中国企業が協力してアフリカで事業展開していけないかと考えていると答えていました。これは大使の個人的見解なのか、日本政府の方針なのかは分かりませんが、非常に「興味深い」考えだと思います。

ということで、日本のビジネスを念頭においた日本大使によるプロモーション・スピーチのために、日本がもっと投資してくれたらケープタウンのビジネスと雇用が増えるのに・・・という雰囲気に包まれたセミナーでした。

このセミナーに出て思ったのは、TICAD Vを一言で表すなら、トップダウンで進めるビジネスのためのアフリカ投資相談会ということになるのでしょうか。

福島康真